3月4日(水)
天国から地獄に落ちるという言葉があるが、まさしく今日の自分のピッチングでそれをやってしまった。ヒットを1本打たれたものの、2アウトでランナー1塁として、打席にはピッチャーが入っていた。自分の気持ちも、勿論チェンジになっていた。2球目投げたところで、ボークの判定、自分の中でも何故ボークと言う気持ちだったが、打席にいるのはピッチャーという事で、あまり気にもせず投げた、ストライクを取りにいったストレートを、何とそのピッチャーにホームランされてしまった。マウンド上でただ呆然とするしかなかった。後悔しても始まらないが、何とも情けない1球になってしまった。野球は恐いものだと、改めて思った。プロに入って初めてピッチャーにホームランを打たれた。それも、こんな大切なところで、、、凄いバッターに打たれてテストに落ちるなら、それなりに力がなかったと諦めもつくが、もしこの1本の事で落ちたなら、なんとも言えない気分になりそうだ。相手が誰であれ、必ず全力で投げると思っていたのにほんとうに情けない。
しかし、ラストチャンスが3月8日にある。そこでなんとか名誉挽回の投球をして、望みを繋げたい。もともと、こんなに順調に来ると思っていなかったのだから、開き直って最後になるかもしれないが、大胆に自分のピッチングをしよう。
3月5日(木)
昨日のショックも少しは落ち着いて、新たな気持ちで練習に望めた。過ぎてしまった事はしかたない、次の登板があるのだから、それに向かって万全の調整をやっていかなければいけない。昨日の登板が最後でなくて良かったぐらいに考えて、本当に来るラストチャンスを物にするように頑張っていこう。現役復帰を考えての登板も、打たれたら2度とマウンドに立てなくなるというところまで追い込まれたのか、それとも、次を抑えてチャンスを繋げていけるのか、もうどちらに転んでも仕方ないだろう。ここまで1年間本当に頑張ってやってきたのだから、、、後悔は必ずするだろう。もし落ちて後悔しないなら、それは嘘だろう。納得する不合格なんていらない。嘘でも、まぐれでも何でも言いメジャーに残りたい、ただそれだけだろう。とにかくやるしかない。
3月6日(金)
今日一日、別にいつもと変わらない感じだった。久しぶりに少し曇って肌寒かったが、午後からは、また晴れて暖かくなった。チームの方も午前中はBゲームで午後からAゲームと、いつもどおりにオープン戦を消化した。そのオープン戦だが、今年のパドレスはここまで8試合消化して、いまだに負け知らずと絶好調である。チームにとってはとても良い事なんだろうけど、自分にとっては少しぐらい打たれてくれないと、自分が生き残っていけないので、なんとも不思議な気持ちになる。やはり昨年の最下位になった事や、新しく加入したケビン・ブラウンの影響、それにこれまた今年からピッチングコーチになったデビット・スチュワートなど、ピッチャー陣にとって刺激的な事が多く、みんなのライバル心が強く、ピッチャー陣にとっては息の抜けない日々が続いている感じだ。
しかし、こういう戦いはGIANTS時代にも毎年あったことだし、それに勝ち抜いてこそ価値があるのだから、最後まで負けないようにしていきたい。
3月7日(土)
いよいよ明日は、最終的に判断される登板だ。緊張しても仕方ないし、今までやって来た事が今の自分の実力だし、今更力以上の物が出るわけでもないので、普段どおりのピッチングができれば良いと思う。とにかく必要以上に力まないようにして、低目にコントロール良く丁寧に、根気よく投げれば自然と結果は後から付いてくるだろう。後は天に任せて幸運を祈るだけだろう。
良いピッチングをするには、何が大切か? 常々考えているが、いつもこれといった答は見つからない。スピード、コントロール、球の切れ、マウンド上での自信、冷静な判断、相手のタイミングを外すなど色々な事があるが、どれが一番でどれが二番とか、順番を考えても決まらないし、やはりすべて必要な事だと思う。しかしすべてを兼ね備えているピッチャーなんて存在する筈無いし、自分にとってその時その時に、必要な物が出せれば、良い結果に繋がるのだろう。しかしこうやって考えるとピッチングはとても奥が深く、難しいものだと思う。でもあまり難しく考えていくとマウンド上で投げられなくなるので、単純に考えておくのも非常に大切な事だと思う。
|